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- 2023.07.03
海外移住をする際に検討する項目の一つが、“住民票を抜くか否か”
住民票を残しておかなければ、受けられないサービスはあるのだろうか?逆に住民票を抜いてしまったら、何か問題はあるのだろうか?
そのような渡航前の住民票に係る疑問を解消すべく、こちらの記事では住民票を抜くことによるメリット・デメリットを紹介します。
『それぞれのメリット・デメリットがよく分からない。』『自分はどうするのが最も適しているのだろう?』と、お悩みの方は是非こちらの記事を参考にしてみてください。
住民票を抜かないのは違法?
そもそも住民票とは…?
住民票とは『住民基本台帳』を指し、氏名、生年月日、性別、住所などが記載された住民票を編成したもので、住民の方々に関する事務処理の基礎となるものです。
下記の通り、国民保険や手当、年金の受給などに深く関わり、日本に住むうえで重要な情報となっています。
- 選挙人名簿への登録
- 国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、国民年金の被保険者の資格の確認
- 児童手当の受給資格の確認
- 学齢簿の作成
- 生活保護及び予防接種に関する事務
- 印鑑登録に関する事務
参照元:総務省基本台帳
そのため、海外移住に伴い、自分自身の立場では抜くべきか残すべきかをしっかりと見極める必要があります。
住民票を抜かないのは違法?
住民票を抜くか否かを決める前に、住民票の有無は自分の意志で決めてよいものなのでしょうか?
筆者はベトナムに移住する前に東京都の文京区に住んでいましたが、自身が転出届を提出する際に得られた回答は下記の通りでした。
1年を超える長期滞在の場合には、国外転出の手続きをしていただく必要があります。1年未満であればそのまま残しておいても構いませんが、1年を超える場合は届けを提出してください。
こちらの期間に関しては、お住まいの市区町村により差がありますので市役所で確認をすることをお勧めします。
実際に文京区が作成するウェブサイトにも、下記の通り同様の記載がありました。
質問:しばらくの間海外で暮らすことになりそうですが、住民票はそのままでよいのでしょうか。
回答:
海外に滞在する期間がごく短期間の場合は、住民票をそのままにしても構いません。
長期の滞在(おおむね1年以上)になる場合には、生活の本拠地が日本にあるとはいえないため、国外転出の手続きをしていただく必要があります。
住民票を置いたままにしておきますと、住民税、国民健康保険料等も負担していただくことになります。
参照元:文京区サイト抜粋
1年以上の海外滞在となる方は、基本的には住民票を抜くことを前提に考えておくとよいでしょう。
不安がある方は、お住まいの地方自治体へお問い合わせください。
住民票を抜くメリット・デメリット
では、ここからは住民票を抜くか迷っている方に向けて、メリット・デメリットを紹介していきます。
メリット①住民税の対象外になる
住民税を納付する義務がなくなることは一番のメリットではないでしょうか。
住民税は前年度の所得に応じ翌年支払う税金ですが、原則として1月1日現在の住所地で課税されます。そのため1月1日時点で住民票を抜いていれば住民税を支払う必要はありません。
住民票は引っ越し日の14日以内に転出届を提出することが推奨されています。
筆者は1月10日頃に引っ越しをしましたが、12月28日に住民票を抜いたため住民税を支払う必要がありませんでした。当時このルールを知らずに区役所を訪れた際に、区役所の担当者から教えてもらいありがたかったことを今でも覚えています。
住民税の金額は前年の所得により異なりますが、おかげで30万円ほどの支払いが必要なくなりました。
メリット②厚生年金の加入が任意になる
厚生年金は住民票を抜くことで、支払いの義務がなくなります。
将来の年金受給額が減ることを避けるために加入しておきたいという方は、個人での加入や継続が可能ですので手続きをしておくとよいでしょう。
デメリット①国民健康保険に加入できなくなる
国民健康保険料を納付する義務がなくなるという一方で、帰国した際に日本で治療を受けても控除されないため10割負担で医療費を支払わなければいけません。
持病がある方や、日本に定期的に帰国して通院予定のある方は、住民票を抜かずに健康保険に加入している状態の方が安心かもしれませんね。
また、海外で病院にかかると、治療費が高額になるケースが多く見受けられます。
ベトナムでは働く労働者の権利と義務確保のために、2022年1月より外国人の社会保険の加入が強制となり保険料率が引き上げられました。それにより外国人もベトナム人と同様の医療保険を受けることができます。
ただ、現実的にはローカルの限られた病院にて2割負担で治療が受けられるというもので、日本語や英語が通じる病院は対象外です。
多くの日本人にとっては入院や怪我をした場合、ベトナムの社会保険の範囲内の治療では水準が低く不安も多いと思いますので、現地で加入できる保険などを事前に調べておくことをおすすめします。
デメリット②マイナンバーが失効する
住民票を抜くことで、マイナンバーが失効します。オンラインでのスムーズな行政手続きや本人確認書類として使用ができなくなるため、日本と行き来しながら生活をする方にとっては不便になる可能性があります。
政府も今後は銀行口座との紐づけなど、よりマイナンバー利用を促進すること発表していますので、慎重に考えた方がいいかもしれません。
結局のところ住民票は抜いたほうがいいの…?
≪住民票を抜いたほうが良い方≫
- 住民税などの税金の支払いを減らしたい方
- ベトナムで保険に加入しており、医療が安心の方
- 1年以上海外滞在予定の方
≪住民票を残した方が良い方≫ ※例外があります
- 日本で定期的に通院予定がある方
- 日本での行政手続きが多い方
- マイナンバーを利用したい方
海外転出届の手続き
海外転出届の提出時に必要な物
・身分が証明できるもの(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)、住民基本台帳カード、在留カード、健康保険証等)
・マイナンバーカード(個人番号カード)または住民基本台帳カード(交付を受けている異動者の方全員分)
・住民異動届(各役所のホームページよりダウンロードもしくは現地にて記入)
手続きの流れ
海外転出届は上記を持参し、持参し住民登録窓口を訪れて届を出すと完了します。
最近では郵送でも完了するので、渡航前の忙しい時期に役所を訪れる手間が省けるので便利です。区ごとに手続きの流れが変わるため、お住いの役所のウェブサイトで事前に確認するとスムーズに手続きを進めることができます。
手続きが完了すると住民登録がなくなり、住民票が取得できなくなりますのでその他の手続に住民票が必要な方は注意が必要です。
渡航後の在留届の提出
日本で転出届を出し、無事ベトナムに到着したら在留届を提出することも必要です。
3ケ月以上海外に滞在する場合は、最寄の日本大使館・領事館に在留届を提出が義務付けられています。届け出は郵送、ファックス、インターネットでも可能ですが、届け出ない場合は各種証明書などの発行が行われません。
ベトナム大使館ではインターネットでの提出を推奨しております、大使館のウェブサイトより確認することができます。
昨今のコロナウイルスなど、有事の際には在留届が提出されていることで安否確認が取れますので渡航後はこちらもお忘れなく提出されることをおすすめします◎
在ベトナム日本国大使館のベトナムの在留届はこちらよりオンラインでの提出方法の確認ができます。
まとめ
日常生活ではあまりなじみのない住民票などの行政手続き。事前に流れを把握しておくと、いざベトナムへの渡航が決まった際にスムーズかつ損をしない段取りを踏むことができます。
今回は住民票に係る渡航前後の流れを解説しました。渡航前の皆様にとって必要な手続きが明確になり、不安が軽減されることを願っております。