ベトナムは、近年高い経済成長を続けている国です。
2017年から2022年までのGDP成長率は年平均6.8%と、東南アジア諸国の中で最も高い成長率を記録しており、若年人口が約7割を占め、今後も経済成長が続くことが期待されています。
このような背景から、ベトナム株式市場は近年注目を集めています。そんな、ベトナム株のメリットとデメリットが知りたい、ベトナム株の特徴は?始めるにはどうしたらいいか?と気になる方も多いのではないでしょうか?
ベトナム株の買い方には、いくつかの方法がありますので本記事では、ベトナム株の特徴と購入方法をご紹介していこうと思います。
そもそも株取引とは?
株取引とは、企業が発行した株式を売買することです。
株式は、企業の所有権を表す証券であり、株式を保有する人は、企業の利益(配当)や資産(残余財産)の分配を受ける権利を有します。
株取引は、証券取引所やインターネットを通じて行うことができ、株式の売買を仲介する「取引所」が存在します。
取引所では、株式の売買価格が公開されており、誰でも自由に売買を行うことができます。
株取引は、株式の価格が変動することにより、利益を得たり損失、を被ったりすることがあります。株式の価格は、企業の業績や経済情勢など様々な要因によって変動します。
資産を増やすための有効な手段の一つですがリスクを伴う投資であるため株取引をメインで行う場合や高額になる際には、リスクを理解しデモトレードや勉強で十分な知識と経験を積んでから行いましょう。
デモトレードは、本番の取引と同じように、自分の資金を扱うわけではありません。
実際のお金を使わずに、株式やFXなどの金融商品を売買する練習をすることができるので、失敗しても損失を被ることがなく、リスクを抑えて練習をすることができます。
本番の取引に備えて、非常に役立つツールですが、デモトレードはあくまで練習であるということを忘れてはいけません。
本番の取引では、デモトレードとは異なるリスクや精神的な負荷が伴うため、デモトレードの経験だけで、本番の取引で成功できるとは限りません。
本番の取引を行う前に、デモトレードを活用して、自分のトレード手法を洗練させ、メンタルを鍛えておくことをおすすめします。
ベトナム株式市場
ベトナム株式市場は下記の3つに分かれています。
- ホーチミン証券取引所(HOSE)
- ハノイ証券取引所(HNX)
- UPCoM店頭市場(未上場公開株取引市場)
HOSEはベトナム最大の株式市場で、HNXはホーチミン市以外の地域に本社を置く企業が多く上場しています。
加えて、ベトナムにはUPCoM店頭市場(未上場公開株取引市場)があります。UPCoM店頭市場は、2009年に開設され、未上場の企業や上場準備中の企業を対象とした市場です。
UPCoM店頭市場は、HOSEやHNXに比べて規制が緩く、流動性が低いという特徴があります。しかし、UPCoM店頭市場には、将来性のある企業や成長潜在力の高い企業が多く登録されています。
UPCoM店頭市場は、ベトナム株式市場の成長を牽引する存在として期待され投資家を賑わせています。
ベトナム株を始めるには
ベトナム株に投資するには、日本の証券会社とベトナム現地の証券会社の2つの選択肢があります。
日本の証券会社
一つは、日本の証券会社を開設し取引を行う方法。
日本の証券会社は、意外にもベトナム株の取り扱いが豊富な証券会社もあり、尚且つ日本語で取引ができるというメリットがあります。しかし、※有償増資の払い込みができないというデメリットがあります。
ベトナム現地の証券会社
もう一つは、ベトナム現地の証券会社を開設する方法。
ベトナム現地の証券会社は、※有償増資の払い込みができるというメリットがあります。しかし、日本口座開設に比べると開設時に手間や時間がかかることや、日本語でのサポートがない可能性が高い、というデメリットもあります。
どちらの証券会社を選ぶかは、自分の投資目的や好みによって異なりますが、まずは、それぞれの証券会社のメリット・デメリットをよく比較して、自分に合った証券会社を選ぶようにしましょう。
おすすめの証券会社はどちらか
筆者も趣味程度に触っていますが、よく聞かれる質問が「結局、どちらがいいのか?」です。結論、どちらで初めても問題はありませんが長期的に見れば当然、現地の口座は開設したいところです。
為替レート、手数料の安さ、有償増資の観点からみても圧倒的にベトナム株に軍配が上がります。
また、現地証券会社を選ぶ際でも、口座開設手数料や取引手数料、手数料無料の取引条件なども確認しておくと良いでしょう。
証券口座を開設後、他の証券会社に移管することもできますが、時間がかかることもありますので、初めから自分にあった証券会社を選ぶことは、やはり重要です。
判断が難しい場合には、例えば日本語を話すスタッフがいる、サービスがよい、注文方法が簡単などの条件を満たした証券会社を選ぶと良いでしょう。
※有償増資
有償増資とは、企業が資金調達をするために、新たに株式を発行して投資家に売却することです。
既存の株主は、保有株式数に応じて、新株を割り当てられる権利を持ちます。
有償増資の手法として、新株予約権無償割当(ライツ・オファリング)がよく用いられます。
新株予約権無償割当とは、既存の株主に新株を割り当てる権利を無償で付与するものです。
新株予約権の権利を行使することで、新株を購入することができます。
新株予約権は、権利を行使する、破棄する、または売買することができます。
開設は難しい?
ベトナムで証券取引を行うには、証券会社と証券決済銀行に口座を開設する必要があります。
手続きは、煩雑に感じるかもしれませんが、実際にはそんなに難しいものではありません。証券会社によっては、一部の認証手続き、申請や受取りを代理でやってくれるところもありますのでこの場合、手続き自体は1日で完了するほど簡単です。
ですが、外国人投資家の場合、証券保管センター(VSD)で証券取引コードを取得する必要があります。証券取引コード取得手続きは証券会社が行いますがその際に「パスポート証明」が必要になります。
そのため、最終的な取引開始までは数週間はかかります。
パスポート証明は、駐日ベトナム大使館、在大阪ベトナム総領事館、在福岡ベトナム総領事館、またはベトナム各地にある公証役場で取得することができます。
その他、開設に必要な書類は、パスポート、住民登録証、納税証明書、収入証明書などが一般的ですが、証券会社や個人の状況にもよりますので詳しくは、その都度、ご利用される現地証券会社にご確認ください。
開設の流れ
思い立ったが吉日と言いますが、株取引はそうもいきません。申し込み後、1ヶ月程度で証券会社から契約書控一式と証券取引コード登録証明書が郵送されます。投資資金を送金すると、いよいよ取引を開始することができます。
- 証券決済銀行で口座を開設します。 ・パスポート原本、ビザ(ノービザの場合は滞在許可期間の記載がある入国スタンプ)が必要のため要相談。
- 公証役場でパスポート証明書を2部取得します。・パスポート原本が必要。
- 証券会社にパスポート証明書を提出します。
- 証券会社が証券取引コードの申請を行います。
- 証券会社から証券取引コードが交付されます。
- 証券会社から証券取引口座開設の通知が届きます。
- 証券取引口座に投資資金を送金します。
- 証券取引口座で取引を開始します。
事前の準備をすることで、万が一のトラブルに備えることができます。特殊な書類が多いだけに時間がかかる物もあるので抜かりなく準備しておきましょう。準備期間中は事前に目標や目的を明確にしデモトレードやエアトレードを行うことで、より良いスタートダッシュを切ることができます。
ベトナム株の特徴
ベトナム株は、成長性が高いことが特徴です。
ベトナム経済は近年急成長を遂げており、ベトナム株もそれに伴い成長を続けています。2019年には、ベトナム株式市場の指数VN30指数は前年比18.4%上昇しました。
また、配当利回りが高いことも特徴です。2020年12月末時点のベトナム株式市場の平均配当利回りは4.1%と、日本株の平均配当利回り2.3%を大きく上回っています。
その反面ベトナム株は、情報量が少ないことと流動性が低いことも特徴の一つです。日本株式市場に比べて歴史が浅く、ベトナム株式市場の取引量と情報量は、日本株式市場の取引量に比べて少ないです。
ですがSNSから最新の情報を得ることが出来ますし、株好きな日本人のコミュニティーもありますので、カバーすることは簡単です。ベトナムで新しい出会いとともに情報収集を行うのも楽しみの一つかと思います。
売買したい銘柄がない場合や、希望する価格で売買できない場合がたまにありますが、それを補う手数料の安さはかなりの強みです。
ベトナムに投資をする際には、ベトナムの情報だけを収集するのではなく、アメリカ、中国、韓国についてもチェックすることが重要です。
なぜならベトナムは、韓国のサムスン電子の拠点となっています。また、アメリカや中国にも輸出入をしています。そのため、ベトナム経済は、これらの国の経済状況や政治情勢に大きく影響を受けます。
これらの国の経済状況や政治情勢が悪化すると、ベトナム経済も悪化する可能性があります。そのため、ベトナム株に投資する際には、これらの国のリスクを十分に理解した上で投資を行う必要があります。
ベトナム株に投資する際は、上記の特徴を理解した上で投資判断を行うとパフォーマンスが向上するかもしれません。
※手数料の例 (2022年2月15日時)
日本の証券会社(税込)
A社:1.65%~2.20%(最低手数料:5,500円)
I社:2.20%(同:5,500円)
S社:2.20~2.92%(同:132万VND≒6,182円)
ベトナムの証券会社
VNダイレクト証券:0.15%~0.25%(最低手数料の設定なし)
SSI証券:0.15%~0.25%(同)
ホーチミン市証券:0.15%~0.35%(同)
為替レートについては日本の証券会社の場合は独自レートでかなり割高な一方、現地証券会社で取引する場合は、銀行の公式レートが適用されますので、それだけでも大きな差になります。
※為替レートのスプレッド(2022年2月15日時)
日本の証券会社(税込):
A社:4.3%、I社:6.0%、S社:4.3%
ベトナムの証券会社:
銀行の公式レート(日本より低い)
主要な証券会社5選
SSI Securities Corporation(SSI証券)
SSI Securities Corporation(SSI証券)は、ベトナム最大の証券会社です。
1999年に設立され、ベトナム証券取引所に上場しています。
株式、債券、為替、投資信託、デリバティブ取引などの金融商品を取り扱っており、投資コンサルティング、企業金融、資産管理などのサービスを提供しています。
ベトナム全土に支店を展開しており、日本語で対応できるスタッフも在籍しています。
また、インターネットでオンライン取引を行うこともできます。
ベトナム証券市場で高いシェアを誇っており、多くの個人投資家や機関投資家から信頼されています。
Ho Chi Minh Securities (ホーチミン証券)
2003 年に設立されたホーチミン市証券会社 (HSC) は、ベトナムの証券仲介会社および投資銀行を主導しており、ベトナム証券市場でトップクラスのシェアを誇っています。
堅実で信頼できるサービスによって強化された専門的な投資顧問サービスを含む、個人および機関顧客に対応する一連の金融商品を提供しています。
ホーチミン証券は、ベトナム証券市場の成長に貢献し、ベトナム経済の活性化に寄与しています。
Viet Capital Securities (バンベト証券)
ベトナムの証券会社Viet Capital Securities(VCI)は、2007年に設立されました。
代表取締役のグエン・タ・イン・フォン氏はベトナム前首相グエン・タン・ズン氏の長女です。
VCIは、ベトナム証券取引所(VNX)上場企業であり、個人投資家向けの証券取引、投資信託、資産運用などを提供しています。また、法人投資家向けの証券取引、投資助言、M&Aアドバイザリーなども提供しています。ベトナム証券市場において、トップクラスの証券会社として知られています。
2022年には、ベトナム証券取引所の売買高ランキングで第1位を獲得しました。VCIは、ベトナム経済の成長を支える証券会社として、今後も成長を続けていくことが期待されています。
Techcombank Securities (TCBS)
Techcombank Securities (テッコムバンク証券)は、ベトナム最大の民間銀行であるTechcombankのグループ会社です。
2008年に設立され、2016年にベトナム証券取引所に上場しました。主な事業は、株式、債券、投資信託の販売、投資助言、資産管理などです。2021年末の総資産は約10兆円で、ベトナム証券業界で第10位の規模です。
Techcombank Securitiesは、ベトナム証券業界で最も革新的で効率的な証券会社の一つです。
独自のオンライントレーディングシステムを開発し、モバイルアプリをリリースするなど、デジタル化を推進しています。
Japan Securities Incorporated (日本証券株式会社)
Japan Securities Incorporatedは、ベトナム唯一の日系証券会社です。
2009年に設立され、2018年にアイザワ証券の特定子会社になりました。
主な事業は証券仲介業務、投資アドバイサリー業務等です。本社はハノイ市にあります。
JSIは、ベトナム証券市場の概況や変動、又は短期・長期的な市場の見通しなどをデイリーレポートを通じてお客様に提供しています。
また、マクロ経済や個別企業の活動に関する最新ニュースも随時アップデートしています。
まとめ
結論として、正しい知識と経験があれば、株取引は大きな利益をもたらす可能性があります。
しかし、未経験や日が浅い方で株取引に興味がある方は、まずは基礎的な知識を学び、リスクを理解した上で投資を行うようにしましょう。
そのため、投資を始める前に、リスクとリターンを十分に理解することが大切です。
株式投資を始める際には、自分の投資目的を明確にし、どのような目的で投資を行い、どの程度の金額を投資するか決めましょう。それにより銘柄や投資額が変わってきます。
また、短期的な利益ばかりを追い求めると、大きな損失を出す可能性もありますので長期的な視点で投資を行い、リスクを分散させることが重要です。
自分の投資目的とリスク許容度を見定め、損失を出す可能性もあることを念頭に置いて、無理のない範囲で投資を行うようにしましょう。
本記事が、読者の皆様の株取引の成功につながることを願っています。
※本ブログは、株取引に関する情報を提供するものであり、利益を保証するものではありません。
また、特定の銘柄を推奨するものでもありません。
株取引はリスクを伴う投資であり、損失を出す可能性もあることをご理解ください。
投資を行う際には、必ずご自身で十分な調査を行い、ご自身の判断で行うようにしてください。