【ベトナム大手銀行】主要10行と日系銀行についてご紹介

【ベトナム大手銀行】主要10行と日系銀行についてご紹介

今回は、「ベトナムの主要銀行」や「ベトナムの銀行導入システムの歴史」「ベトナムの銀行の種類」について解説していきます。

ベトナムは近年、経済成長が著しく、金融業界も急速に発展しています。
その背景には、国内外からの投資や、政府の積極的な政策が影響しており、ベトナムの銀行の国際的な評価では、多くのベトナムの銀行が世界ランキングにランクインしています。

また、日本人が気になるベトナムでの「日系銀行のベトナム進出」についても触れていきますので、最後までご覧ください。
本記事によりベトナムの銀行業界の現状と将来の展望についてよりご理解頂ければ幸いです。

 

ベトナムの主要銀行は?

世界有数のブランド評価コンサルティング会社ブランドファイナンスが2024年に発表した『世界トップブランド価値を持つ銀行ランキング500社』では「ベトナムの銀行が15行ランクインした」と発表しました

このランキングによると、

Vietcombank(133位)

BIDV(151位)

Vietinbank(157位)

Techcombank(160位)

AGRIBANK(162位)

VPBANK(175位)

MB(227位)

ACB(243位)

また300位以下には、Sacombank(322位)・TPバンク(326位)・HDバンク(366位)・LPバンク(424位)・VIB(425位)・SHB(436位)・MSB(458位)がランクインしたという結果になっています。

(参照) HIỆP HỘI NGÂN HÀNG VIỆT NAM(VIETNAM BANK’S ASSOCIATION)

ベトナムの4大国営銀行とは?

主に国の経済政策の実施や国内経済の支援を目的とした銀行で

「Vietcombank」「Agribank」「BIDV」「VietinBank」がベトナム4大国営銀行と言われています。

 

Vietcombank(ベトコムバンク)

国内外に 600 以上の支店があり、約 23,000 人の従業員と全国に 2,500 台以上の ATM と 60,000 台以上のカード支払い受付ユニットを備えたオートバンク システムをもっています。

2011年にはみずほ銀行がVietcombankとの資本・業務提携を行い、株式の15%を保有しています。

2022年にThe Banker Magazineが発表したランキングによると、Vietcombankは「世界の大手銀行トップ500においてベトナムの信用機関の中でトップの銀行」でベトナムを代表する銀行の一つとなっています。

本社住所: VCB Tower – 198 Trần Quang Khải, Hoàn Kiếm, Hà Nội.

(参照) Vietcombank /ベトコムバンクについて株式会社みずほフィナンシャルグループ/ベトコンバンクとの資本・業務提携について

 

BIDV(BIDVバンク)

1957年「ベトナム建設銀行」として設立され、ベトナム北部の社会主義経済に貢献していき、3 回の改名を経て現在のBIDV となりました。

2022 年末までにカンボジア・ラオス・ロシア・台北など海外駐在事務所を設けています。

2019年には韓国第3位の銀行であるハナ銀行が戦略的協力協定を正式に締結し、ハナ銀行がBIDVの定款資本の15%を保有しています。

本社住所:Tháp BIDV, 194 Trần Quang Khải, Hoàn Kiếm, Hà Nội

(参照) BIDV/BIDVについてBIDV開発の歴史

 

Vietinbank(ヴィエティンバンク)

1988 年に設立され、主なサービスとして組織や個人から短期、中期、長期の預金や資本融資、組織と個人間の支払い、外貨取引、国際貿易金融サービスの実施、コマーシャルペーパー、債券、その他の有価証券などの事業を行っています。

三菱 UFJ 銀行は2012年にVietinbankと業務提携契約を結び、株式の約20%を取得しています

本社住所: 108 Tran Hung Dao, Hoan Kiem District, City Hanoi Vietnam

(参照) Vietinbank/歴史的なマイルストーン

 

Techcombank (テクコムバンク)

1993年に設立され、資本金は200,000,000,000VNDでベトナム最大の株式会社商業銀行の 1 つです。

2023年の顧客数は1,340万人にのぼり、総営業利益は40兆6,100億ドンと報告しています。また、現在の総資産額は849兆4,820億ドンとなっています。(Techcombank2023年次報告書より)

本社住所:Số 6 phố Quang Trung, phường Trần Hưng Đạo, quận Hoàn Kiếm, thành phố Hà Nội.

(参照) Techcombank/私たちについて

 

AGRIBANK(アグリバンク)

アグリバンクは国が定款資本の100%を保有する唯一の商業銀行で、1988年農村部や農業部門の開発を目的として、設立されました。

特に農業と農村の発展に役立つ信用政策を効果的に実施し、農業と農村の発展に重要な貢献をしています。

2023年には、従業員数を4万909人から4万2083人に大幅に増員しています。

本社住所:Số 2 Láng Hạ, phường Thành Công, quận Ba Đình, Hà Nội

(参照) AGRIBANK/アグリバンクについての概要

 

VPBank (VPバンク)

1993年設立され、従業員数は29,000名を超え、ベトナム全域に支店が250以上あります。

三井住友銀行が2023年にVPBankと業務提携契約を結び、業務面における提携関係を更に強化することで、ベトナムでの事業拡大を目指す企業の支援をサポートしています

本社住所:Trụ sở chính: 89 Láng Hạ, Quận Đống Đa, Hà Nội

(参照) VPBank/私たちについて三井住友フィナンシャルグループ/VPBank 出資について

 

HDBank(HDバンク)

1989 年に設立され、「ホーチミン市開発株式会社商業銀行」が正式名称となっています。

2022年には伊予銀行と愛媛銀行がHDBankと業務提携契約を締結し、ベトナムにおいて日本語での金融サービスや情報提供等の各種サポートが可能となりました

2023年時点では従業員数が 17,000 人を超え、ベトナム全国に347の支店を持っています。

本社住所:25Bis Nguyễn Thị Minh Khai, P.Bến Nghé, Quận 1, TP Hồ Chí Minh

(参照)HDBank/私たちについて株式会社伊予銀行/ベトナムのHDバンクと業務提携します! 

 

Asia Commercial Joint Stock Bank (ACB)

ACB はベトナム有数の株式会社商業銀行のひとつで、国内 63 省のうち 49 省に支店と取引オフィスのネットワークを持ち、13,000 人を超える従業員を擁し、多種多様な商品とサービスを提供しています。

2015年には日本発唯一の国際カードブランド運営主体である株式会社ジェーシービーの海外業務を行う子会社、株式会社ジェーシービー・インターナショナル(JCB)と提携してベトナムでプリペイドカードの発行を行いました

本社住所: 442 Nguyễn Thị Minh Khai, Phường 5, Quận 3, TP. Hồ Chí Minh

(参照)Asia Commercial Joint Stock Bank/私たちについてJCB/ニュースリリース・JCB、Asia Commercial Bankと提携し、ベトナムでプリペイドカードの発行を開始

 

Sacombank(サコムバンク)

1991 年に設立され、設立当初は従業員 100名の小さな銀行でしたが、現在 従業員数は18,000 名を超え、2023年の総資産は2023年末までに665兆VND以上に達すると推定され、ベトナム最大の民間銀行の1つとなっています。

2017年には第一生命ホールディングスの100%子会社下「第一生命ベトナム」が業務提携契約を結び、今後 20 年間、Sacombankの広範なネットワークにて、独占的に第一生命ベトナムの保険商品を販売することが可能になったと発表しました。

本社住所:266 – 268 Nam Kỳ Khởi Nghĩa, Phường Võ Thị Sáu, Quận 3, TP. HCM

(参照) Sacombank/私たちについて第一生命ホールディングス株式会社/サコムバンクと第一生命ベトナムとの業務提携について

 

VIB(ベトナム国際銀行)

VIB は 1996 年 9 月 18 日に設立され、初期資本金 500 億 VND と従業員 23 名で操業を開始しました。

2023年までに、VIBの定款資本は25兆3,680億VND、自己資本は37兆8,450億VNDに達し、総資産は410兆VND以上に達しています。

VIB は現在、全国に189の支店と12,000名を超える従業員を擁しています。

本社住所:111A Pasteur, phường Bến Nghé, quận 1, thành phố Hồ Chí Minh

(参照)VIB/私たちについて

 

ベトナムの銀行導入システムの歴史

ベトナム国立銀行(VNB)は、ホーチミン氏により 1951 年 5 月 6 日の政令に基づいて正式に設立されました。

この銀行設立は、フランスからのベトナム独立やベトナムの自国の通貨の流通・銀行制度の発達に大きく貢献しました。

 

ベトナム戦争で紙幣は混乱

1961年、ベトナム国立銀行はベトナム国家銀行 (SBV) に改名し、ベトナム戦争後には政府の新しい銀行システムを構築していきました。

また、紙幣の統一を図るため、南ベトナムのサイゴン政権下で発行されていた紙幣と引き換えにベトナムドンを発行し、1978年に「南北統一ドン」が導入されています。

それまでベトナム国内では2つの種類紙幣が使用されていました。

 

国際社会参加と経済成長

1986年のドイモイ政策導入以降は、社会主義志向の市場経済へと徐々に移行し国際経済への参加を目指しました。

1990年から1996年にかけて、ベトナム国家銀行はプラス金利政策を採用し、信用の伸び(信用度・信用力)は年間平均36%となりました。これにより、工業化と近代化に向けた再編成功に貢献し、長期にわたるベトナムの経済成長を推進していきました。

2008年のリーマンショックでは高いインフレ率を抑え、ベトナム経済の成長を支えながらマクロ経済の安定を達成する政策を最優先していきました。

2011年から現在まで政府やベトナム国立銀行は金融政策を行い、財政政策と密接に連携して積極的かつ柔軟に運営されており、ベトナム経済の安定や経済成長を支えています。

ベトナム国家銀行 (SBV)とは

ベトナム通貨の発行者。国家の通貨取引活動・金融機関の管理や金融金利の管理などを行う銀行で「ベトナムの中央銀行」とよばれている。

(参考)ベトナム国立銀行/銀行業界の歴史の概要・ベトナムの通貨の歴史

 

現在のベトナムの銀行口座保有率は?

2023 年5月にベトナム国立銀行 (SBV) が開催したイベントでは、ベトナム国立銀行のグエン・ティ・ホン総裁が「ベトナムの成人の約74.63%が銀行口座を持っている」と発表し、その後2024年にはベトナム国立銀行決済部次長のレー・アイン・ズン副局長が「87.08%のベトナム人が銀行口座を持つ」と発表し、ベトナムの銀行口座保有率は着々と増えています

2017年には3割台だった銀行口座保有率のため「ベトナム人の銀行口座保有率は低い」と言われてきましたが、ここ数年で急速に保有率が伸びてきています。

ベトナムではコロナ禍を期に「QRコード支払い」等キャッシュレス化が急加速しており、ホーチミン市ではキャッシュレスデーイベントが開かれるなど、キャッシュレス化を浸透させています。

※(参考記事URL)

▼ベトナムのキャッシュレス事情について解説しています

急速に普及するベトナムでのキャッシュレス事情 ~QRコード決済、カード決済など~

 

ベトナムの銀行に種類はある?

ベトナムの銀行には以下のような種類があります。

国有商業銀行

国有商業銀行は、国が定款資本の 50% 以上を所有する商業銀行です。国有商業銀行には、定款資本を 100% 国が所有する商業銀行と、定款資本を 50% を超えて国が所有する株式会社商業銀行が含まれます。

例としては、農業・農村開発銀行 (AGRIBANK)、ベトナム外国貿易銀行 (Vietcombank)、ベトナム工商銀行 (Vietinbank)、ベトナム投資開発銀行 (BIDV)があります。

 

株式会社商業銀行

株式会社の形態で運営されている金融機関です。信用機関法の規定に基づいて設立・運営され、預金口座の開設、融資の実行、資産の管理、その他多くの金融サービスの提供など、金融・銀行分野における多くの事業活動を行っています。

株式会社商業銀行は通常、株主によって所有されており、株主所有の原則に基づいた経営構造を採用しています。

例としては、アジア商業株式会社銀行 (ACB)、 東亜商業株式会社銀行、東洋商業株式会社銀行 (OCB)、軍事商業株式会社銀行 (MB 銀行)などが挙げられます。

 

民間商業銀行

民間商業銀行(プライベートバンク)は公的機関や国有銀行ではなく、組織から設立され、資本はすべて民間資金から提供された銀行の一種です。

民間銀行は州立銀行の管理下にあり、金利に関する政策や規制に従い、州立銀行に従って借り入れを行う必要があります。

ベトナムの主な民間商業銀行にはTechcombank、VPBank、サイゴン – ハノイ商業株式銀行 (SHB)などが挙げられます。

 

合弁銀行

合弁銀行は特別な種類の銀行であり、銀行の定款資本は、国内の金融機関と銀行、一部は海外の銀行からの協力によって形成されます。

合弁銀行は、少なくとも 2 名以上のメンバーからなる有限責任会社の形態で組織されており、パートナー間の合弁契約に従ってベトナムに本社を置く必要があります。

ベトナムの合弁銀行の例としては、ベトガー銀行 (VRB)、インドビナ銀行(IVB)、 ビナシアム銀行 (VSB)、ヴィッド・パブリック・バンク (VID)などの銀行が挙げられます。

 

外国銀行支店

100% 外国資本の銀行で、その定款資本全体が 1つ以上の外国銀行によって所有されている銀行組織です。 2つ以上の事業体がある場合は少なくとも1つの外国銀行が定款資本の 50% 以上を所有することが求められます。

例としては、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、HSBC 銀行、ホンリョン銀行株式会社、ANZ銀行、 スタンダードチャータード銀行などがベトナムで営業しています。

これらの種類の銀行の他にも、非営利の特定の経済政策を支援するために設立された「社会政策銀行」(Vietnam Bank for Social Policiesなどがあります。

これらの種類の銀行は、ベトナム経済において、それぞれの役割を果たし金融市場の発展と経済成長を支えています。

(参考)VPBank/ 商業銀行とは何ですか?分類と特徴と機能ベトナム国立銀行/ベトナムの外国銀行支店(2024年3月31日現在)

 

ベトナムに進出している日系銀行は?

日本の大手銀行として知られている

三菱UFJ銀行

三井住友銀行

みずほ銀行

がベトナムに進出しています。

最近の動向としては2023年にみずほ銀行がベトナム大手キャッシュレスサービスの「MoMo」を運営する「Mサービス」に出資をしています。

また、りそな銀行福岡銀行大垣共立銀行十六銀行きらぼし銀行などがベトナムに駐在員事務所を設立し、大手銀行だけでなく地方邦銀のベトナム進出も増加しています。

ベトナムに進出した各邦銀では、ベトナムの銀行と業務提携契約を交わす等、ベトナム進出に関するコンサルティング業務取引先企業への支援市場調査などのサービスの提供に力を入れています。

これらの動きは、東南アジア諸国のなかでもベトナムの経済成長の伸びを期待されており、資産規模・収益が今後も拡大していくと共に、日系企業の進出も活発になっていくと多くの企業が予測しているとも推測できます。

 

まとめ

『世界トップブランド価値を持つ銀行ランキング500社』ではベトナムの銀行が15行ランクインするなど世界でベトナムの経済成長が注目を集めています

特に、ベトナム人の銀行口座保有率の急速な伸びで銀行業界も急速に発展しており、地方邦銀がベトナムに進出するなど、今後のベトナム経済の発展に期待する動きもみられます。

このような動きがベトナムと日本の経済成長をますます促進する一翼を担うことになるでしょう。

この記事が参考になりましたら幸いです。

HRnavi べとわーく編集部

執筆者HRnavi べとわーく編集部

べとわーくを運営するHRnaviは、創業15年、ベトナムで唯一日系企業に特化したローカル人材会社です。また、べとわーく編集部は、ベトナム在住歴10年以上のメンバーを中心に構成しています。ベトナムにおけるお仕事、生活情報など、在住歴が長い人しかわからないようなコアな情報をお届けします。

有料職業紹介事業者の登録番号:No. 21862/SLĐTBXH-GP(更新日:2020年8月10日)

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