ベトナムで働いている方の多くが、ベトナムの暦に合わせてお休みを取っているのではないでしょうか?
そんな方々にとって、1年で一番長い大型連休となるのが旧正月に合わせて祝日となるテト休暇。
ベトナム人の方々にとってはテトは非常に重要なイベントとなりますが、同じアジアでも新暦を用いている日本では、あまりなじみがないですよね。
そこで、こちらの記事では旧正月(テト)がどのようなイベントなのか、ベトナム人の方の旧正月の過ごし方、文化について解説していきたいと思います。
テトとは?
現在世界的には太陽暦に基づいて、年間のスケジュールが作られている国がほとんどですが、アジアを中心とした一部の国では太陰暦に基づいたカレンダーが採用されています。
そしてベトナムでも太陰暦に基づいてイベント等が実施されますが、太陰暦の正月にあたるのがテト(Tết Nguyên đán)です。
ベトナムでは新暦での正月(=1月1日)はほぼお祝いすることはなく、祝日も1月1日の元旦のみで会社なども通常営業となりますが、旧正月は盛大にお祝いします。
ベトナムでは、旧正月になるとみんな一斉に地元へ帰り家族と過ごすため、ホーチミンやハノイなどの街中は静かになり、お店なども大半が閉まります。
スーパーやレストランも閉まってしまうため、買い物をしておかないとご飯難民になりかねないので注意してくださいね!
そして、太陰暦は日にちの計算方法が新暦とは異なるため、新暦のカレンダーでは毎年日にちが変わります。
2024年のテトはいつ?
旧暦は新暦とはカレンダーが異なるため、お正月も毎年日にちが変わるとご紹介しました。
毎年11月頃に翌年のテト休暇日程が確定するベトナムでは、その時期になるとテトの日程が気になってそわそわしている方も多いのではないでしょうか。
テト休暇は基本的に5日間と決まっていますが、企業の一般的な休暇の土日と合わせて1週間程度になることが例年のテトです。
そして、つい先日2024年のテト日程が決まりました!
2月10日(土)がテト元旦となり、2月8日(木)~2月14日(水)の7日間が2024年のテト休暇となります。
テトの過ごし方
さて、ここからはベトナムの一般的なテト休暇の過ごし方について紹介していきます◎
日本でも帰省したり紅白歌合戦を見たり、お正月ならではの過ごし方があるように、ベトナムのテトもお正月ならではの過ごし方があります。
※旧暦
12月23日(24日とも): 台所の掃除をして、Ông Táo(オンタオ)と呼ばれる台所の神さまをを送ります。
12月28日〜29日:大掃除をする、食べ物の準備、飾り物(鉢植えやお供え)の準備
12月30日:大晦日 ご先祖にお参り・お供え
1月1日~3日:お参り、家族で食事をとる、お年玉をもらう
1月4日以降:友人と過ごす
テト休暇になると地元へ帰り、家族と過ごすのが一般的な過ごし方となります。家族の結びつきが強いベトナムでは日本以上に故郷へ帰る人が多く、ホーチミンやハノイの街中はタクシーも捕まえるのが難しくなるほどです。
大晦日から元旦に変わるタイミングで街では花火があがるので、それを見に出かける若い人もたくさんいますよ!
テトの文化
食事編
ベトナムでは日本同様にお正月にはお節料理を食べる習慣があります。お節料理と言っても日本のおせちとは一味違う料理の数々が食卓に並びます。
ここではテトに食べる伝統的な料理を紹介します!
①Bánh chưng(バインチュン/ちまき)
バインチュンは、テトの時に最も欠かせない食べ物の一つです。
もち米の中に緑豆と豚肉などを入れて、バナナの葉やラドンの葉で包んで約10時間程茹でて作ります。
いわゆる日本のちまきのような食べ物で、各家庭で作られるためそれぞれ家庭の味があるのでベトナム人の友人の家で食べ比べてみるのも面白いですよ◎
バインチュンのBánhは米や小麦から作られたパンを意味し、chưngは蒸すという意味があります。
ヌクマム(ベトナムの魚醤)で作られたお漬物と一緒にバインチュンを食べるのが一般的です。
揚げたバインチュンもあり、テト明けの職場では、ベトナム人スタッフがバインチュンを持ってきてくれることもよくありますよ!
②Dưa món(ズアモン/お漬物)
先ほどのバインチュンと共に食べるお漬物がこのズアモンです。
大根、ニンジン、コールラビ、パパイヤなどの野菜を乾燥させて、ベトナムの魚醤ヌクマムと砂糖を煮立たせて唐辛子を入れた汁で3日程漬けます。
ピクルスのようなお漬物で、バインチュンに飽きてくると食べたくなるさっぱりとした一品です!
お漬物があるなんて、日本と似ている食文化で心をほっとさせてくれますね◎
③Thit kho trung(ティットコーチュン/豚の角煮)
そして、テトのごちそうの定番といえば豚の角煮を薄切りにしたチャーシューのような伝統料理!
こちらはヌクマムで煮込まれた豚の煮物で、ココナッツで煮るのが特徴的です。
ベトナムの中部や南部で特に有名な伝統料理で、バインチュンと一緒に食べたりライスペーパーに野菜と巻いて食べたりします。
筆者がハノイにいた時は角煮というよりさっぱりしたゆで豚のようなものが出てきましたが、南部ではもう少しこってり甘い角煮のようなものが出てきて南北での味付けの違いを感じました。
習慣編
①お歳暮を贈る
テト休暇前になると街があわただしくなります。特に会社の営業マンなどは年末のあいさつ回りに贈り物を持ってお客様を訪問します。
贈り物として人気があるのは、健康によい高級食材(つばめの巣やふかひれなど)やお菓子やお酒などです。
スーパーや百貨店ではテトのお歳暮商戦があり、お菓子の詰め合わせなどのお歳暮がたくさん販売されます。
これをもって、テト休暇前にあいさつ回りをするのがベトナムの習わし。
テト休暇の準備で買い出しに行く人、あいさつ回りで出かける人が増えるため、テト前の道は非常に混雑するので、時間に余裕をもって行動することをおすすめします◎
②お年玉
子供のお正月の楽しみといえばお年玉ですよね。実はこのお年玉の文化はベトナムにもあります。
ベトナムでは子供だけではなく大人ももらうこのお年玉。家族内でも渡しますが、会社の社長から部下へも渡すことも多く、筆者も毎年テト明け初日にポチ袋をもらうことを楽しみにしています◎
ベトナムでは赤いお金が縁起がいいとされているため、5万VNDもしくは20万VNDを渡すのが一般的です。
もちろん50万VNDをもらうのが一番みんな喜びますが。笑
この習慣があるため、テト前になると5万VNDと20万VNDが少なくなり、多くの人がボーナスをもらいお金をおろすためどのATMからもお金がなくなるという現象が起こります。
そのため、少し早めにお金の準備をすることをお勧めします。
③桃/梅の花・金柑の花・盆栽を飾る
テトが近づいてくると街中に桃の木や金柑の鉢植えが市場に並び、立派なものとなると非常に高価格で取引されます。
縁起物として自宅に飾るのが一般的で、北部では桃の木(Hoa đào)、南部や中部では黄色の梅の花(Hoa Mai)が一般的です。
富、幸運、希望などの意味があるため、一年の始まりを希望に満ちたものになるよう願って飾ります。
テト前になるとバイクの後ろに鉢植えを乗せて運ぶ姿が街中で見られるのは風物詩ですね◎
まとめ
こちらの記事ではベトナムのお正月『テト』の紹介をしました。
テトは年に1度の大型連休!ベトナム在住日本人の方は、一時帰国をしたり海外旅行をする方も多いのではないでしょうか。
もしベトナムに残る方は、一度ベトナム人の友人や同僚の方の家にお邪魔してベトナムのお正月を楽しんでみてはいかがでしょうか?
お正月に招く人は大切な人なので、ベトナムの方にお正月に呼んでもらえることはとても光栄なことです◎
ベトナムのお正月を満喫してくださいね。