- ベトナム就職のメリットはよく分かったけど、注意点やデメリットは?
- ベトナム転職ってどう?現地在住者の本音が知りたい
こうした疑問に対して、ホーチミン・ハノイで在住経験の長い筆者が経験談も踏まえ、分かりやすく解説します。
最後までお読みいただければ、ベトナム就職の注意点を事前に理解でき、納得した転職活動へと繋げられるでしょう。
ベトナム就職・転職を検討されている方にとっての参考となれば幸いです。
この記事の信頼性
HRnaviは創業15年、「ベトナム就職をしたい」という日本人の方にベトナムでのお仕事を紹介してきました。担当する日本人コンサルタントは皆、実際にベトナムに住み、現地の空気感を肌で理解しています。
また、本記事の筆者は、ベトナム、シンガポール、中国にも居住経験があるので、他の国と比べた客観的な意見をお伝えできます。
注意点・デメリットを知るべき理由
就職後の「こんなはずじゃなかったのに・・・」という後悔を最小限にするためです。
ベトナム転職を成功させ、思い通りで楽しい生活を送られている方が多くいる一方、残念ながら早期にベトナムを去ってしまう方がいることも事実。
「ベトナム就職・転職を成功させるために注意すべきポイントは何か?」
我々キャリアコンサルタントとしても、求職者の理想となるキャリアを応援したく、本記事では「ベトナム就職のデメリットや注意点」を忖度無しでご紹介します。
ベトナム就職/転職で気を付けたいこと3つ
本題に移る前に考えておきたいことは、「そもそも、デメリットとは何なのか」ということです。
辞書には「短所、欠点、損失」と記されています。
つまり、「負の影響」と言えるでしょう。
では具体的に、その「負の影響」は、どういった面に及ぶのでしょうか。
筆者は、以下の3つの面だと考えています。
- 仕事・キャリア面
- 金銭面
- 健康面
以下、順番に解説していきます。
仕事・キャリア面の注意点①「ベトナム人との感覚の違いに、ストレスを感じる場合がある」
「米食文化」「戦争の影響から立ち上がった歴史を持つ」「アジアに位置する」という共通点から、ベトナムと日本はどこか似ている、とお考えの方もいるかも知れません。
ただ、当然ながら違う国ということもあり、文化や感覚の違いにより、ストレスを感じる時もあります。
HRnaviや筆者、そして周囲の日本人が、仕事上で感じた経験のある「ベトナム人との感覚の違い」は以下の3つです。
- 「前もってやる」よりも「必要になってからやる」
- 「お客様を優先」よりも「お客様も、こっちの事情を分かって欲しい」
- 上司の「指示の意図や背景を理解する」よりも「言ったことをやる」
日本だと、「計画性と逆算思考を持つ」「お客様第一」「本当のニーズを掴んで仕事をする」という言葉などで、社会人が持つべき最低限の考え方、と感じるのではないでしょうか。
逆に、日本でこれらを持ち合わせていないと、「計画性がない」「サービスレベルが低い」「意図を分かっていない」とマイナスの評価をされてしまう場合もあるでしょう。
しかし、これらの考え方は、ベトナムでは一般的ではありません。
その背景は、諸説あると思いますので、ここでは割愛します。
もちろん、日本人などの外国人との勤務経験がある方や、とても優秀な起業家の方など、ベトナム人の中でも、これらの視点を持ち仕事をされている方も、大勢いらっしゃいます。
ここでお伝えしたいことは、「日本では当たり前の『計画性』『お客様優先』『言葉の裏にあるニーズを想像すること』は、一般的ではない」と感じる場面が多々ある、ということです。
この時、日本人と同じ感覚で仕事をしてしまうと、ベトナム人の同僚や部下、サプライヤーに対して「計画性がない」「サービスレベルが低い」「意図を分かっていない」と感じてしまうでしょう。
しかも「納期遅延」「顧客からクレームを受ける」「ベトナム人の同僚や部下との仕事がうまくいかない」という影響が出ると、ご自身だけではなく会社への影響も出てしまい兼ねません。
対処法
まずは「『日本の当たり前』は 『ベトナムの当たり前ではない』という点を、心から理解すること」が第一ステップでしょう。
その上で、以下の3つの対処法が考えられます。
- 細かなリマインドを、自分のスケジュールに組み込む
- 上から目線に立たず、相手の状況に理解を示しながら、こちらの要望をはっきり伝える
- なぜこの仕事をやるのか、をはっきり伝える
ベトナム勤務歴8年の、あるベトナム北部の製造企業で、ベトナム人70名を率いる日本人の方は、「日本人とベトナム人の役割分担だと考える」ことで、うまくマネジメントをされているとのことでした。
「違い」を理解して対処することで、日本人とベトナム人の「感覚の違い」は乗り越えることができる、と言えるでしょう。
仕事・キャリア面の注意点②「意識しないと英語・ベトナム語が上達しない」
「もしベトナムに行ったら、英語やベトナム語を身に付けよう!」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
実際、ベトナム就職をされたばかりの方には、語学学習へ高い意欲をお持ちの方に多く出会います。
しかし、残念ながら、数ヶ月した後に再会してみると、「結局勉強しなくなった」と仰る方が多いのが実情です。
その理由として、ほぼ全員が挙げることは、仕事と私生活を問わず、「英語やベトナム語を話さなくても、案外生活できてしまう」点です。
実際のところ、企業側が現地採用者に求めることも、高い語学力よりも専門スキルや知識であるケースがほとんどです。
したがって、ベトナムに住むことで語学力が自然に上がる、というケースは期待できず、必要性に迫られない限り、語学を身に付ける意欲は低下してしまう、と言えるでしょう
対処法
この点について、以下3つの対処法が考えられます。
- 「英語やベトナム語を身に付けたいと思う理由」を明確にする。
- 語学学校や家庭教師などを活用し、「語学を集中して勉強する時間」を設ける
- 「語学を勉強する理由」が曖昧なら、ベトナム渡航後に再検討する、もしくは語学学習を諦める。
英語やベトナム語を話せれば、ベトナムでの生活がより豊かになることは間違いありません。
ただ、もし語学力を向上させたい場合は、「行けば自然に上達する」という考えを捨て、上達させるために時間やお金を投資する覚悟を持たれると良いでしょう。
金銭面の注意点③「日本よりも給与が下がるリスク」
ベトナムは物価が安い国。ベトナムに現地採用で就職すると、日本よりも待遇が下がるケースがあります。
職種や業界によっては日本で働くよりも給与が高い求人はありますが、転職時は日本の給与水準より大体7~8割程度まで落ちることが多いです。
もちろん、特別なスキルがある方やベトナムで管理職に就く場合や、本社採用で駐在員として赴任する場合など、所得アップに成功するケースもあります。ただ、多くのケースでは、ベトナムで得られる所得は、日本よりも下がってしまうでしょう。
しかし、ベトナムでは生活費が安く、また経済成長が著しいため、長期的には金銭面で得することも多いのも事実です。
貯金ができる/出世できる/昇給率が高い
転職した時点では一時的に給与が下がりますが、ベトナム転職には夢があります。
- 生活費が安いため貯金ができる
- 成長企業が多く、出世できる、昇給率が高い
- 起業するチャンスを掴みやすい(サービスが未発達のため介入余地が多い)
健康面の注意点④「都市部の大気汚染」
途上国であるがゆえに、ベトナム都市部の大気汚染は深刻です。
都市部とは、ベトナム就職者の大部分が多く居住する、ハノイとホーチミンを指します。
ダナンやその他都市に居住する場合は、今の所、心配をしなくても良いでしょう。
世界各国の空気の質を配信する、スイス発の企業「IQAir(アイキュー・エアー)」によると、2022年11月6日時点の「世界の都市の大気汚染ランキング」の中で、ホーチミンは32番目、ハノイは8番目に空気が汚れているようです。
大きな原因は、バイクや自動車の排気ガスと言われています。
新型コロナウィルスの発生以降、ベトナムでもリモートワークを行う人が増えたと言われていますが、移動が自由化されてから、発生前よりも渋滞がひどくなると共に、大気汚染も悪化したと感じています。
また、現地に在住すると、特に通勤と退勤の時間帯、いつも見えている遠くのビルが霞んで見えない、という日があります。
筆者が8年間滞在する中で多くの日本人と会ってきましたが、「ベトナム渡航後に、大気汚染で体調を崩し、渡航後6ヶ月以内で帰国を余儀なくされた」という日本人がいたと、聞いたことがあります。
対処法
考えられる対処法は、以下の2つです。
- 外出時はマスクをする
- 渡航後、万が一に備え、診察を受けられる病院を知る。
呼吸器系の病気を患っている方や、何らかの診断を受けた経験をお持ちの方は、特に注意をされると良いでしょう。
因みに、筆者は現在ハノイに居住しておりますが、「帰宅後のうがい」を欠かさないことで、幸い、問題を感じたことはありません。
まとめ「ベトナム転職を成功させるために、注意点も確認しておきましょう」
今回は、「ベトナム就職の注意点」という内容で、現地在住者が感じる、生の意見を届けました。
「海外就職」や「ベトナム就職」は、良い面ばかりが注目されがちです。
しかし、長期的な視点に立ってベトナム就職・転職を成功させるためにも、注意点やデメリットにも目を向けましょう。渡航前の準備もしやすくなるでしょう。
本記事があなたにとってベトナム就職が有益かどうか、少しでも考える材料になれば幸いです。
ベトナム転職について専門的なアドバイスが欲しいという方は、HRnaviのコンサルタントに気軽にご相談ください。
▼【参考】ベトナム転職のメリットについて書いた記事はこちら